TOPIC / 遺留分

遺留分の金額は、不動産の評価で決まる

「全財産を長男に相続させる」という遺言があっても、他の相続人には最低限の取り分が保障されています。それが遺留分です。遺産の大半が不動産なら、遺留分の金額は不動産の評価額でほぼ決まります。

遺言と遺留分に関する書類

このページの結論

  • 遺留分(兄弟姉妹以外の法定相続人に保障される最低限の取り分)の計算は、財産の「時価」が前提です。
  • 2019年7月施行の民法改正で、遺留分の請求は金銭債権(遺留分侵害額請求)になりました。不動産を分けるのではなく、金銭で支払います。
  • 不動産の評価の基準時は相続開始時(亡くなった日)です。過去時点の評価ができるのは鑑定評価の特徴です。
  • 評価額が動けば、請求額・支払額も動きます。請求する側・された側のどちらにとっても、評価が金額を直接左右します。
吉田 健人

執筆: 吉田 健人(不動産鑑定士 登録番号 第11191号)
株式会社KRE Appraisal不動産鑑定業者登録 東京都知事(1) 第2987号

遺留分のしくみ──金銭で請求する権利

遺留分とは、遺言や生前贈与の内容にかかわらず、兄弟姉妹以外の法定相続人に保障される最低限の取り分のことです。たとえば「全財産を長男に」という遺言があっても、他の子は遺留分に相当する金額を請求できます。

かつては不動産そのものが共有になる制度でしたが、2019年7月施行の民法改正により、金銭の支払いを求める権利(遺留分侵害額請求権)に変わりました。請求する側は金銭を受け取り、不動産は遺言どおり取得者のものになります。

金銭で請求する以上、「いくら請求できるのか・支払うのか」がすべてです。そしてその計算の前提は、財産の時価です。遺産の大半が不動産であるケースでは、不動産の評価額がそのまま遺留分の金額を左右します。

遺留分の計算の骨格(遺産が不動産6,000万円のみ・子2人・全部を長男に遺贈した例)

遺留分算定の基礎となる財産

6,000万円

不動産の時価=鑑定評価の対象

次男の遺留分割合

4分の1

法定相続分1/2 × 1/2

次男が請求できる遺留分

1,500万円

金銭で請求する

※ 説明のための仮の数値・簡略化した計算です。生前贈与や債務の加算・控除がある場合は計算が変わります。割合の計算は弁護士にご相談ください。

評価額が動くと、遺留分はいくら動くのか

先ほどの例で、不動産の評価額だけを動かしてみます。遺留分割合が4分の1なら、評価額の差の4分の1が、そのまま請求額・支払額の差になります。

子2人・遺留分割合4分の1のケース。不動産の評価額によって遺留分がどう動くか
不動産の評価額遺留分(4分の1)評価の差による増減
5,200万円1,300万円−200万円
6,000万円1,500万円基準
6,800万円1,700万円+200万円

※ 説明のための仮の数値です。生前贈与・債務等の加算・控除は省略しています。

請求する側は高い評価を、請求された側は低い評価を主張したくなる構造です。相続税申告で使った路線価ベースの金額が持ち出されることも多いのですが、路線価は課税のための価格であり、時価の8割を目安に設定されています。どの資料の金額を土台にするかで、数百万円単位の差が生じ得ます。

資料を示しながら説明する様子

遺留分を請求したい方、請求されて金額に納得できない方、どちらのご相談もお受けします。相手方の資料の検証(セカンドオピニオン)から、相続開始時の時価の鑑定評価まで対応します。

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請求する側・された側、どちらでも評価の内容は同じ

当事務所は、遺留分を請求する側・請求された側のどちらからのご依頼もお受けしますが、どちらの側であっても評価の内容は変わりません。不動産鑑定士は、依頼者に有利な金額を作る立場になく、不動産鑑定評価基準に従って評価額を導くためです。結果として、ご希望と異なる金額になることもあります。

その中立性こそが、相手方や裁判所に対する説得力の源泉です。なお、鑑定評価書は有力な証拠資料の一つですが、裁判所の判断を拘束するものではありません。

また、遺留分の割合の計算、生前贈与をどこまで算入するか、請求の期限や手続の選択といった論点は法律実務の範囲です。主張の組み立ては弁護士にご相談ください。当方は弁護士の先生と連携し、主張の裏付けとなる時価の評価を提供します。

よくあるご質問

遺留分はだれにあるのですか。

兄弟姉妹以外の法定相続人に認められます。子や親には遺留分がありますが、兄弟姉妹にはありません。だれにどれだけの遺留分があるか、個別のケースでの割合の計算は法律上の論点なので弁護士にご相談ください。

遺留分を請求すると、不動産そのものをもらえるのですか。

2019年7月施行の民法改正により、遺留分の請求は金銭の支払いを求める権利(遺留分侵害額請求権)になりました。不動産の持分を取得するのではなく、侵害された額に相当する金銭を請求する仕組みです。だからこそ、その金額の前提となる不動産の時価が争点になります。

請求された側です。相手方の主張する評価額が高すぎる気がします。

相手方が提出した査定書や鑑定評価書の前提条件・採用事例・計算過程を検証するセカンドオピニオンを承っています。検証の結果、不合理な点が見当たらない場合はその旨を率直にお伝えします。反論の根拠になり得る場合は、ご自身で鑑定評価を取得するかどうかの判断材料になります。

遺留分の請求には期限があると聞きました。

相続の開始と遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年で時効にかかるとされるなど、期間の制限があります。期限の計算や請求の手続は弁護士の職務範囲ですので、早めに弁護士にご相談ください。当方は、請求額の前提となる不動産の時価の評価を担当します。

鑑定が必要かどうかの確認だけでも構いません

物件の内容と手続の状況をうかがい、どの資料が必要か、費用はいくらかをお伝えします。必要がなければその旨をお伝えします。初回のご相談は無料です。

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